夢の三角木馬

ما رأيت وما سمعت

「Homecomings / Somehow, Somewhere」(7.6点)

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確かこれ出た当時から今年のアタマにかけて「ボーカルの英語の発音がクソだから聴かん!」とかわけのわからないことをずっと言い続けて聴かず嫌いをきめていた気がするんですけど、その時の僕の頭を叩いてやりたい気分です。そもそも、英語の発音とかそういうことじゃないんですよね、このバンドの「ミソ」となっている部分って。アニメのエンディングにありがちな、キラキラしていて明るいんだけどどこか物寂しさがある雰囲気を醸し出している映像が常に頭の中で流れてくるんです。

最近は洋楽の方を多く聴いていて邦ロックの方が疎かになってきていたんですけど、また少しずつ聴き始めてみようかな、と思わせてくれた一枚でした。

「Belle and Sebastian / Girls in Peacetime want to dance」(9.5点)

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1月はこればっかり聴いてた。しかもまだ聴き足りてない感じもある。
ベルセバに関しては僕は2006年作「The life pursuit」をきっかけに知った人間なので、
それ以降の所謂「明るい」ベルセバが好きな訳で、
初期の暗くじめっとした音楽を期待していたファンにとっては
今作の反応を見る限り落胆している様子であったけど、
僕は2000年代以降のベルセバとしては一番大きな挑戦作であったように思える。
それは6曲目「Enter Dylvia Plath」のような今までのベルセバからは想像できないような
エレクトロポップチューンを繰り出して見せたり、
一曲目「Nobody's Empire」は初めてバンドのフロントマンである、
スチュアート・マードック自身の物語を歌ったりと、
この作品からは新しい発見が尽きない。
前作から5年の月日をかけてまた新しい一歩をこのアルバムで踏み出そうとしている。

1月のベストアルバム10枚

 

今年から月ごとの個人的ベストアルバムでも決めてみようかなと。

これには僕の備忘録的な意味合いが大きく占めているので、そこまで深く考えてません。

また、選ぶアルバムは今年出たアルバムに限らないのであしからず。

1.「Belle and Sebastian / Girls in peacetime want to dance」

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2.「Nujabes / Free Soul Nujabes First Collection」

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3.「Godspeed You! Black Emperor / Alleluiah! Don't Bend! Ascend!」

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4. 「Real Estate / Days」

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5.「Lamp / ゆめ」

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6.「Sigur ros / Med sud i eyrum vid spilum endalaust (邦題:残響) 」

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7.「Panda Bear / Panda Bear Meets the Grim Reaper

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8.「Ty Segall / Manipulator」

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9.「M83 / Saturdays = Youth

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10.「Aphex Twin / Computer Controlled Acoustic Instruments pt2

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「Panda Bear / panda bear meets the grim reaper 」(7.8点)

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Animal Collectiveのメンバーの一人であるPanda Bear(本名Noah Benjamin Lennox)のソロアルバム第五作目。

僕は今作でPanda Bearのソロアルバムに触れたことになるんだけど、Animal Collectiveにある「Strawberry jam」の時のようなあのアクの強いエクスペリメンタル要素が前面に押し出されてる感じじゃなくて、あくまでもポップに、あくまでもサイケに仕上げようとする感じがあった。特に「Mr Noah」なんて、頭の中がおかしくなりそうなぐらいサイケなサウンドとビートで満たされている曲で、何回聴いても飽きない。Panda Bearといったら2007年の「Person Pitch」が一番評価されていることは知っているので今後聴いてみようかなと思う。この作品も良いには良いけど、「Mr Noah」以外は特に抜きん出てる部分もないサイケポップだったからね。

(漫画)「施川ユウキ / サナギさん」(8.0点)

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「日頃僕たちが何気なく使っているものや言葉を、もう一度考えて改めて使ってみる」がこの漫画の一つのテーマなんじゃないかな。物を見つめ直す、っていうのはありきたりなやり口だけど、この作品に関してはそれがちょっと他とは変わっているんだよね。ほとんど作者が夢の中で、はたまた散歩中に、はたまた食器を洗っている最中に浮かんだあらゆる妄想をこの漫画の中にダイレクトに落とし込んでいるように思えた。単なる意味のない言葉遊びだったり、妄想にしてもかなりこじ付けで無理のある設定を作り上げたり、やってることはハチャメチャなんだけどそこには万物に対する作者の一つ一つの考えでもあって、自分たちが気にも止めないような事象に物語を与えていくのって、かなりスゴいことじゃない?

「Grouper / Ruins」(8.2点)

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僕にとって今まで聴いてきた「アンビエント」というジャンルに対して思っていたことは「静寂」、「無機質」、「寒々しさ」、「空虚」とかネガティブなイメージしかなくて、そういった負の性質を帯びた音楽を世のアンビエント愛好家は好んで聴いているのだろうな、と勝手ながら思っていたけど、このアルバムで考え方を変えなきゃいけないのかもしれない。

確かにこの作品は全体的な音こそ静かで、間違っても満員電車の中で聴くような音楽じゃないんだけど、この作品はとても暖かいんです。本当に暖かい。吹雪の中、山小屋の囲炉裏で炭を燃しているような、そんな暖かさ。強くはないんだけど、確かに火はそこにある、安心感とでもいえますね。終始一貫してピアノサウンドをバックに、今にも消え入りそうな声でボーカルElizabeth Harrisが歌う。メロディーもどこか叙情的で、感傷的になってしまう。なのにその音に身を任せていられる。そこにはやはり他のアンビエントでは見いだせなかった暖かさがあるからではないのでしょうか。

「M83 / Saturdays = Youth」(9.1点)

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うーん、これはいいぞ。去年、同バンドの2011年作「Hurry up, we're dreaming」を聴いてかなりアンテナ的にビビビっと来て一時期どハマリしていたんで、今回はその3年前、2008年の作品「Saturdays = Youth」を聴いてみることになったんだけど、うーん、良い。「Hurry up,~」は所謂コンセプトアルバム的な部分もあってか、全体のまとまりのために短尺の曲や長尺の曲たくさんの曲がそれぞれ流れに沿って置かれてて、ついつい聴き流してしまう曲もあったんだけど、この作品は一曲一曲がそれぞれの曲の持ち味を生かしていてとても濃い。聴けば聴くほど全11曲のそれぞれ異なった色が見えてくるし、「Hurry up,~」よりもサウンド面での多様さに長けてる印象があって、単なる「シューゲイザー+エレクトロ」の表現では収まりきらない様相がある。もしかしたら個人的にメロディー面でこっちのアルバムの方が好きなだけかもしれないな。いやー、これは益々過去作を掘って行きたくなりますなぁ