夢の三角木馬

ما رأيت وما سمعت

(映画)「田園に死す(8.9点)」

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これ本当に1974年の映画かよ?
寺山修司の私映画とも言われているけど、どこまでが寺山が経験した「真実」で、どこまでが「虚構」なのかは、この映画の構成上考えるだけ無駄なんだろうな。この映画は最初、劇中劇によって自分の過去の境遇を否定していくところから始まる。そして過去の自分からもう一度自分の過去を見つめ直すように促されて、そこからある意味奇妙な青年時代が再現されていくわけだけど、なんともこれが不気味。劇中劇では明るいサーカス団が出てくるけど、実際はそれらは変質者の集まりでしかなかった描写や、子供を川に流して頭が狂ってしまった女や、主人公の母親でさえも不気味に描いている。それは登場人物の顔が白塗りになっているだけじゃなく、寺山が見ている(見てきた)「世界」を再現して映しているからなのかもしれない。今まで見たことない部類の映画だったので頭がトリップしかけたが、この映画の雰囲気と上手く調和する事が出来ればハマるかも知れない。