夢の三角木馬

ما رأيت وما سمعت

(小説)「西尾維新 / 戯言シリーズ」(5.3点)

f:id:oz_tk:20150108215037j:plain

実は三作目「クビキリハイスクール」までは中学の頃に読んでいたけど、受験やらなんやらでそのままにしていた戯言シリーズ、あれからもう数年が経ち割と暇なこの状況でまた読んでみようか、と去年の年末に意気込んで一気読みした。

正直、読まなくて良かったのかもしれない。中学の頃のなんとなく「面白かったなぁ」の気持ちで終わらせるべきだったと思う。

何がひどいって、最終章の上中下巻の三巻にわたって繰り広げられる最終章「ネコソギラジカル」が本当にひどい。正直言ってひどさはここに詰まっている。三巻それぞれの本の厚みは相当なものなのに、書いてある内容が薄い。というか、文章におけるムダが多い。どうでもいい主人公の自分語りで3ページ4ページ消費されると、ここまで耐えて全文に目を通して読んできた僕でも流し読みをしてしまうレベル。さらに、主人公は一作目「クビキリハイスクール」から毎巻、事あるごとに友達である「玖渚友」との昔からの因縁についての思わせぶりな事を語っているが、最終章でその全容が明らかになると思いきや、ならない。

そう、ならない。

ひどいよこれ。多分ここまで読んできた人達の大半はそのことを知りたいから下巻まで頑張って読んできたのに、ほったらかしにするんだもん。他にも色々細かい伏線やらが回収されていないこともあるけど、そのあたりは目を瞑るにしても、こればっかりはどうしようもない。

別にミステリ要素を途中から無くしたり、キャラクターをすぐに殺したりするのはいいんだよ、そこは西尾維新の他の作品で学んできているから。でもさぁ、終わらせるところはちゃんと終わらせようよ。「終わりよければ~」なんてよく言うけど、これじゃ「終わりよくなければ全てよくない」だよ。