夢の三角木馬

ما رأيت وما سمعت

(映画)「思い出のマーニー(7.6点)」

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先日あるドキュメンタリー番組でジブリは制作部門の解散をすることを発表し、この作品がほぼ年一作品のペースで出すという本来の流れにあったジブリ作品としてはおそらく最後の作品になった訳である。この作品の監督を務めた人は以前にも「借りぐらしのアリエッティ」の監督を務めた人だ。まず思ったことが、この作品の話の流れとしてはとてもよくできてあり、最後まで観ないとこの話の全体像がわからないので片時も目を離せない映画であったが、その中でもジブリ特有の描写は忘れておらず、背景や顔の表情などいわゆる「ジブリっぽさ」が要所に見られ、ストーリーの中でもどことなく安心感を感じる。しかし、この映画を最後まで観て思ったことが、「この作品、ジブリが映画化しなくてもよかったんじゃないのか?」と疑問に思った。日本には他にも長編アニメーション映画を作っている会社もある、でもその中で何故ジブリがこれを映画化したのかという疑問が生まれた。本来僕の持っているジブリ作品というのは時代や世界背景にとらわれない冒険活劇を多く作っている印象があった。しかしこの作品では主人公の杏奈が友人マーニーを通じて自身の心の成長を描いたストーリーでありかつ、マーニーとは一体何者なのかを解き明かしていく所謂ミステリー要素も含んでいる。前者の要素は今までのジブリ作品には多少含まれていたが、問題は後者(ミステリー)だ。この部分が今までのジブリ作品にあった特徴には入っていない。なので観る側としても最初この映画の世界に溶け込むには時間がかかったと思われる。この映画はジブリではないある会社が作ったアニメーション映画ならもう少し印象が違っていたに違いない。観客が毎作品求めていたものと今作品でおかしなズレが生じたが、それも一つのジブリの制作に関する心境の変化なのだろうか。